天帝の剣 大主宰
天邪神が復活する時、大千世界にかつてない災厄が訪れる―。ファン急増中の中国ファンタジー・アクションドラマ最新作!!
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第1話
生まれつき霊脈が塞がり、霊力を持たない牧(ぼく)域の後継者・牧塵(ぼく・じん)。万物に霊力が宿る大千世界において、彼は蔑みの対象でしかなく、学び舎の北霊院でも味方でいてくれるのは、親友の譚青山(たん・せいさん)と唐(とう)域の公主である唐せん児(とう・せんじ)だけである。ある日のこと。霊陣に精通している牧塵は、唯一霊力なしで発動できる“霊縛陣”の修練をしていた。するとそこへ、剣を携えた美しい少女が現われ…
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第2話
五大院入試前の最後の試験に挑むべく、牧塵(ぼく・じん)たち一行は秘境にやってきた。今回の試験で戦う霊獣は蛇類。蛇が苦手な唐せん児(とう・せんじ)は気が気ではない。そんななか、果物を探しに行っていた柳慕白(りゅう・ぼはく)が大きな牙を手にして戻ってきた。まさか蛇牙では―不安がよぎったその時、霊蛇の大群が彼らを襲う。しかし蛇たちは急に攻撃をやめ退散していくではないか。すると突如、地面が大きく揺れ…
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第3話
聚霊陣で修練を行っている最中、洛璃(らく・り)の霊力が暴走し始めてしまった。ただならぬ様子の洛璃を心配そうに見つめる牧塵(ぼく・じん)。すると彼女の額に青く光る印―洛神族の神女の証しが浮かび上がった。洛璃の正体を知った学生たちは驚きを隠せない。一方の牧塵は、幼い頃に龍宮で出会ったある少女が洛璃であることに気づき、思わず笑みを浮かべるのだった。そこに、事の次第を聞きつけた学院長の莫師(ばくし)が駆けつけ…
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第4話
強くなりたい―父・牧鋒(ぼく・ほう)から、母・清衍静(せい・えんせい)にまつわる、ある真実を聞いた牧塵(ぼく・じん)は、改めて五大院の入試を受ける意志を固めた。合格するには3つの難関を突破せねばならず命の危険も伴うが、修練を積み、いずれは天下無敵の強者になると誓った牧塵の心は揺るがなかった。同じ頃、義父の天邪神(てんじゃしん)から、人族を抹殺すべく邪眼の1つである“蒼穹の眼”を託された温清せん(おん・せいせん)は…。
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第5話
空に現れた邪眼―蒼穹の眼により、五大院の試験中だった学生たちの霊力が吸い取られていく。次々と意識を失う仲間を前にしながら、何もできない不甲斐なさに憤る牧塵(ぼく・じん)。皮肉なことに、霊力のない自分だけが無事なのである。ところが、そんな牧塵に異変が起こった。突如として彼の体から金色の光が立ち上り始めたのだ。そして、次の瞬間には光の塔となり上空へとほとばしる。その光によって、邪眼は跡形もなく消え…
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第6話
霊力を吸収していた卵から孵化した神獣・九幽雀(きゅうゆうじゃく)は、牧塵(ぼく・じん)めがけて羽ばたくと、猛然と襲い掛かってきた。必死に防戦する牧塵。するとその体から、以前に邪眼を一瞬で消した時と同じ光が。光はあの時と同様に空へと向かい、卵が吸い取った霊力を奪おうと開いていた蒼穹の眼を貫き破壊したのだった。その後、しばし上空を旋回していた九幽雀は、意識を失って倒れていた牧塵の体の中へと入っていき…
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第7話
仕切り直しで行われた五大院の入試。最終関門である試合の決勝戦に勝ち残ったのは、牧塵(ぼく・じん)と柳慕白(りゅう・ぼはく)だった。実力で優勝すると洛璃(らく・り)に誓った牧塵は気合十分だが、相手は自分よりはるかに格上の慕白―力の差は歴然である。当然のように、劣勢に立たされる牧塵。彼の身中に潜む九幽(きゅうゆう)は、勝ち目がないのに粘り続けることに痺れを切らし、力を貸そうと動く。手出しはするなと必死で止める牧塵だが…。
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第8話
従叔父の柳宗(りゅう・そう)が急死し、突然現れた素性も分からぬ無顔(むがん)道士が柳宗の後任として軍師の座に就く―。一連の出来事への不信感を露わにし、柳宗の死因を調べるよう訴える柳慕白(りゅう・ぼはく)を父・けい天(けいてん)は一喝した。それもそのはず、柳宗は無顔道士に刃向ったがゆえに殺されたのだ。慕白がその場を立ち去ったあと、けい天は無顔道士に問う。“まさか私の実の息子を殺す気なのか”と…。
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第9話
仮面の道士に扮した牧塵(ぼく・じん)の罠にハマり、“真言丹”―口にすると、真実を語ってしまう丹薬―が混ざった酒を飲んでしまった血弑(けつ・しい)。それにより、洛璃(らく・り)が嫁げば洛神族を襲わないという血(けつ)神族の族長・血霊子(けつ・れいし)の言葉は嘘で、婚儀が済めば洛神族を根絶やしにするつもりであることを知った洛璃は愕然とする。“意味を成さない犠牲は単なる愚行だ”。牧塵の説得に洛璃は…。
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第10話
主力部隊が不在の牧(ぼく)都をなかなか落とせないことに柳けい天(りゅう・けいてん)は焦っていた。明日こそ城を落とせと言われても、霊力の消耗が激しい戦陣師たちをすぐに回復させるなど、できるはずもない。そう嘆くけい天に、無顔(むがん)道士はある秘策を授けるのだった。そして翌日。柳域軍の攻撃は激しさを増し、牧塵(ぼく・じん)も“護城大陣”を発動して抵抗するが、途中で霊力が尽きてしまう。もはやこれまでかと思ったその時…。
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第11話
“低語の力”で、強さと引き換えに自我を失った捕虜たちを目にした牧塵(ぼく・じん)と唐(とう)域の域主・唐山(とう・さん)。柳(りゅう)域の兵たちがあの力を得れば、危機的状況は免れない。牧塵には秘策があるが、成功させるには柳慕白(りゅう・ぼはく)の助けが必要だった。その頃、当の慕白は無顔(むがん)の蠱毒に苦しんでいた。自分の命がどうなったとしても無顔の言いなりにはならないよう訴える彼に、父親のケイ天(けいてん)は…。
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第12話
柳慕白(りゅう・ぼはく)と唐セン児(とう・せんじ)の結婚式当日。花嫁衣裳に身を包んだセン児に笑顔はなかった。事情を何も知らないセン児にとって、慕白は友を殺し、仲間を裏切った悪の手先でしかないのだ。「あなたには失望したわ」――そう慕白に告げたセン児の目から一筋の涙がこぼれる。心がすれ違ったまま結婚式が進行する裏では、作戦を実行に移すべく、牧塵(ぼく・じん)が九幽(きゅうゆう)の力を借りて“大千化魔陣”を発動させ…。
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第13話
家族も柳(りゅう)域も失ってしまった。柳慕白(りゅう・ぼはく)にとって、それは生きる意味をなくしたも同然だった。絶望と自責の念にとらわれ、命を絶とうとする慕白。すんでのところでそれを止めた牧鋒(ぼく・ほう)は、霊陣に入りながらも死なずに済んだのは、父のケイ天(けいてん)が、我が身が灰と化すのを覚悟のうえで救ってくれたからだと慕白に告げるのだった。一方、無顔(むがん)道士から黒瞑血呪をくらい失明した牧塵(ぼく・じん)は…。
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第14話
柳慕白(りゅう・ぼはく)に会うために柳域を訪れた牧塵(ぼく・じん)・譚青山(たん・せいさん)・洛璃(らく・り)。荒れ果てた柳域の様子に戸惑いながら慕白を探す3人だったが、彼の姿はどこにも見当たらない。どうやらすでに唐セン児(とう・せんじ)と共に旅立ったあとのようだ。やむを得ず柳府で夜を明かした彼らは、五大院の最上位・北蒼霊院へ。師姉の葉笋児(よう・じゅんじ)に学院内を案内されている最中、牧塵は強い霊力を感じ…。
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第15話
北蒼霊院に来てからというもの、柳慕白(りゅう・ぼはく)は一心不乱に鍛錬を重ねて身体を酷使し続けていた。すべては強くなって柳域の再興と仇討ちを果たすため。そのあまりに痛々しい様子を心配し、寄り添おうとする唐セン児(とう・せんじ)だったが、慕白はそんな彼女すら拒絶するのだった。一方、牧塵(ぼく・じん)の目を治したい洛璃(らく・り)は、治療に必要な玉結草のある雷(らい)域に入るべく、牧塵には内緒で霊値稼ぎをすることを決め…。
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第16話
柳慕白(りゅう・ぼはく)は沈蒼生(しん・そうせい)と対峙した。実力は確かながら、北蒼霊院で最も優秀と名高い蒼生にはかなわず、敗北を喫する慕白。伸びしろはあるものの心が魔にとらわれてしまっている慕白を見て、このまま放っておけば道を誤りかねないと危惧した蒼生は、彼の力になろうと試みる。しかし、その心を開かせることは難しかった。事の次第を聞いた牧塵(ぼく・じん)は、“僕に良策があります”と蒼生に告げ…。
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第17話
謎めいた女に突然攻撃された牧塵(ぼく・じん)は、奇妙な場所に閉じ込められてしまった。「僕たちは今どこにいる?」――目が見えない牧塵は体内の九幽(きゅうゆう)に尋ねるが、彼女にも感知できないようだ。一体ここは何なのか。霊陣で作り出した空間のようだが、陣の核がない。何か見落としているはずだと、牧塵はあたりを手探りで調べ始めるのだった。一方、沈蒼生(しん・そうせい)から指導を受ける柳慕白(りゅう・ぼはく)は…。
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第18話
牧塵(ぼく・じん)の霊力が暴走しかけていた。北蒼霊院の学院長・霊溪(れい・けい)が抑え込んで事なきを得たが、この現象は暴虐に満ちた暗赤色の霊力が経脈に流れていたことが原因らしく、さらには鶴邀(かく・よう)の治療法とも関係しているという。牧塵の目を治したとはいえ、禁術を研究している鶴邀を危険視する霊溪は、副作用が大きく、九幽(きゅうゆう)までも浸食するような治療はやめるべきだと、牧塵に忠告するのだった…。
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第19話
葉笋児(よう・じゅんじ)は、牧塵(ぼく・じん)が自分の玉佩を盗んで雷域へ行ったことに衝撃を受けた。信頼して預けてくれた先生に申し訳ないと泣きだす笋児。師姉を悲しませるのは心苦しかったが、親友のため玉佩の奪取に協力したことは後悔していない譚青山(たん・せいさん)は、“俺が全責任を取ります”と言い切るのだった。一方、牧塵を自らの手で殺害するつもりの鶴邀(かく・よう)にとって、彼の雷(らい)域行きは大きな誤算で…。
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第20話
柳(りゅう)域の主としての誇りを巧みに利用し、鶴邀(かく・よう)は柳慕白(りゅう・ぼはく)を陥れることに成功した。これで懸念していた副石の持ち出しについても解決できるとほくそ笑む鶴邀。その頃、雷(らい)域にいる牧塵(ぼく・じん)たちは、北溟龍鯤(ほくめいりゅうこん)の助力を得て、玉結の林へ来ていた。目的はもちろん、牧塵の目を治すための玉結草である。探し回った末に見つけた1株を、早く食べるよう促す九幽(きゅうゆう)だったが…。
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第21話
燭天(しょく・てん)の殺害及び、無断で伝送陣を作った疑いで柳慕白(りゅう・ぼはく)が拘禁された。このまますべてを彼の仕業として片づけようと、一刻も早く処刑すべきだと訴える鶴邀(かく・よう)。しかし学院長の霊溪(れい・けい)は、“後日、調査を行う”と言うに留めたのだった。一方、沈蒼生(しん・そうせい)は、実父を犠牲にしてまでも正義を貫いた慕白が間者であるはずはないと確信していたが、当の慕白は釈明すらしようとせず…。
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第22話
北蒼霊院を守る北蒼霊陣を強化するため、葉笋児(よう・じゅんじ)の静止を振り切って魂を燃やす禁術を繰り出す霊溪(れい・けい)。敵の攻撃は防げたものの、彼女の体はもはや限界に近かった。その後、髪が真っ白になり老婆のように変貌した霊溪は、牧塵(ぼく・じん)に、思いも寄らぬ事実を打ち明けるのだった。その頃、柳慕白(りゅう・ぼはく)はある邪心を抱き、魔刑天(ま・けいてん)の後を追って伝送陣で龍宮へ…。
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第23話
間者である鶴邀(かく・よう)を成敗したうえに、危険を顧みず龍宮に乗り込み、伝送陣の破壊まで成し遂げて帰還した柳慕白(りゅう・ぼはく)。彼への疑念がすべて晴れたわけではなかったが、沈蒼生(しん・そうせい)はその労をねぎらう。神ならぬ蒼生は、慕白が天邪神(てんじゃしん)に下ったことなど知る由もなかった。同じ頃、牧塵(ぼく・じん) ・洛璃(らく・り)と共に白馬(はくば)城へ向かっていた九幽(きゅうゆう)が突如、姿を消し…。
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第24話
数日前に九幽(きゅうゆう)は白馬(はくば)城の裏山に現れたという。彼女を追っていた牧塵(ぼく・じん)と洛璃(らく・り)は、城主・白軒(はく・けん)に案内され山野にやってきたが、どうにも様子がおかしい。九幽の痕跡が全くないのだ。「道が違うのでは?」と洛璃が尋ねた途端、白軒の態度が一変。突如2人を霊縛陣に閉じ込めたのだ。“白馬城を脅かす者には容赦しない”と怒りを露わにする白軒に対し、悪意はないと説明する牧塵だが…。
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第25話
白馬(はくば)城の民は人が死んでも笑っていた。白桐(はく・とう)によると、海の巨眼が現れて以来、人々は太陽が沈むと笑い出すのだそうだ。異様な光景に眉をひそめる牧塵(ぼく・じん)たち。いたたまれなくなった白桐は、彼らに他の場所へ行くよう促すのだった。一方、牧塵の行先を突き止めた柳慕白(りゅう・ぼはく)は、救出に行くと嘘をつき、北蒼霊院を出る方法はないか北溟龍鯤(ほくめいりゅうこん)から聞き出そうとするが…。
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第26話
白龍を覚醒させるため、牧塵(ぼく・じん)・洛璃(らく・り)・九幽(きゅうゆう)の3人は危険を承知で白龍の神識の中に入った。するとそこには、滅びたはずの龍族の人々が。神識の中はどうやら白龍の夢の世界らしく、幼い白龍と黒龍の姿もある。だが、声をかけても反応はない。不思議に思っていると突然、周囲の光景が変化した。別の夢が始まったのだ。このままでは埒が明かない。覚醒の手がかりはどこかと、牧塵は考えを巡らせるが…。
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第27話
柳慕白(りゅう・ぼはく)は大須弥魔柱を持ち去ろうとするが、牧塵(ぼく・じん)がそれを許さなかった。計画を邪魔されたことに怒りを募らせた慕白が、己の持つ低語の力を使って牧塵に攻撃を仕掛ける。そこへ姿を現し、大須弥魔柱を奪い取ったのは黒龍だった。慕白の企みを察し、白馬(はくば)城に駆けつけたのだ。10年の歳月を経て再び大須弥魔柱を手にした黒龍。対抗する牧塵たちとの力の差は歴然である。もはや打つ手はないように思われたが…。
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第28話
“お前たちの霊力を大須弥魔柱に捧げ、龍族の再興に貢献しろ”――黒龍はそう叫んで大須弥魔柱を空に放った。みすみす霊力を奪わせてなるものか。牧塵(ぼく・じん)は洛璃(らく・り)と連携して黒龍を倒そうとするが、力を増した黒龍が相手では苦戦を強いられ、霊力はどんどん吸い取られていく。“大須弥魔柱は龍族の法器だ。白龍の力を備えた牧塵になら操れるかもしれない”。北溟龍鯤(ほくめいりゅうこん)の言葉に、牧塵は…。
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第29話
李玄通(り・げんつう)は、洛璃(らく・り)のために九幽雀(きゅうゆうじゃく)の血を手に入れると宣言した。それは苦労を共にしてきた仲間である九幽を殺すことを意味する。そんなことをしては、九幽と血脈がつながっている牧塵(ぼく・じん)まで命を落としてしまう。洛璃は“誰にも死んでほしくない”と必死で玄通にすがり、思い留まらせるのだった。一方その頃、白馬(はくば)城では、瀕死だった柳慕白(りゅう・ぼはく)が意識を取り戻していた…。
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第30話
大須弥魔柱を手に北蒼霊院へ戻ってきた牧塵(ぼく・じん)。無事に任務を終えたことを報告した際、学院に侵入した温清イン(おん・せいせん)によって穆菱(ぼく・りょう)が殺されたのを知る。牧塵は、自分のせいで穆先生まで犠牲となった事実に胸を痛めると同時に、天邪神(てんじゃしん)を殺し、霊溪(れい・けい)学院長をはじめ、死んでいった皆の仇を討つことを誓うのだった。同じ頃、天邪神から白馬(はくば)城へ行くように命じられた清インは…。
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第31話
渡魂訣を使って霊脈を柳慕白(りゅう・ぼはく)に与えたことにより、唐セン児(とう・せんじ)は霊力を失い、髪の一部が白髪になっていた。自分を助けるために己の身を犠牲に――申し訳なさと感謝で胸がいっぱいになった慕白は彼女を抱きしめ、一生をかけて償うと誓うのだった。同じ頃、洛璃(らく・り)が戻ったことを聞きつけた血弑(けつ・しい)が、洛神族の地に姿を現した。血霊子(けつ・れいし)の命により、洛璃を迎えに来たという彼は…。
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第32話
過去を捨て、唐セン児(とう・せんじ)と2人でひっそりと生きていくはずが、またもや天邪神(てんじゃしん)と相まみえることとなった柳慕白(りゅう・ぼはく)。すべての元凶が牧塵(ぼく・じん)だと知った彼は声を荒らげるのだった。その怒りを煽るように、温清セン(おん・せいせん)は“牧塵さえ死ねばすべて片がつくのよ”と畳みかける。慕白は、任務を果たしたら二度と自分の前に現れないことを条件に、牧塵殺害の命を請け負うのだが…。
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第33話
白い衣を纏った娘は曼荼羅(まんだら)の本体だった。彼女は天帝の霊園に咲く花だったが、千年前のある日、邪霊族によって神獣ヶ原に閉じ込められ、9つの邪眼の1つである“無息の眼”のせいで逃げ出せないのだという。さらには、無息の眼があるおかげで、九幽(きゅうゆう)が不死鳥に進化するのに必要な不死鳥伝承を得られない事態に陥っていた。牧塵(ぼく・じん)たちは邪眼の破壊を試みるも、長年の間に防御力の増した邪眼はびくともせず…。
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第34話
葉笋児(よう・じゅんじ)は、血(けつ)神族に寝返った洛(らく)神族の長老・洛修(らく・しゅう)を追い詰める。一族を守るにはそうする他なかったのだと洛修は嘆いた。するとそこへ李玄通(り・げんつう)が。彼が持ってきたのは、白い布に包んだ洛天龍(らく・てんりゅう)の首――臆病者の洛修は事態を察し、恐ろしさのあまり観念するのだった。一方、洛青崖(らく・せいがい)の説得に臨んだ沈蒼生(しん・そうせい)は劣勢に陥り…。
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第35話
洛璃(らく・り)を奪おうとする牧塵(ぼく・じん)に激高した血霊子(けつ・れいし)が攻撃を放つ。すさまじい低語の力に、吹き飛ばされる牧塵。続けざまに一撃を繰り出そうとした血霊子の目の前で、洛璃が身を挺して牧塵をかばった。そのうえ“牧塵を殺すなら私も殺して”と訴える。牧塵への愛に怒りを覚えるも、洛璃を手にかけることなどできるはずもない。 私の気が変わらぬうちに去れ――血霊子が2人を逃がそうとした、その時…。
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第36話
5千年前の天邪神(てんじゃしん)との戦いにおいて、洛(らく)神族が神脈の提供を拒んだために、牧塵(ぼく・じん)の母は元神の半分を犠牲にせざるを得なかったのだという。それにより衰弱し、浮屠玄(ふと・げん)に抗う力を失った彼女は監禁された――。真相を知り、愕然とする牧塵。彼は、母を苦しめ、家族が離散する要因を作った洛神族を恨む気持ちを抱く一方で、その族長が愛する洛璃である現実に引き裂かれ…。
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第37話
清衍静(せい・えんせい)の従者で龍象(りゅう・しょう)と名乗るその男によると、衍静は祖塔に監禁され危険な状態とのことだった。塔への侵入方法なら調べがついているという龍象に入り口まで案内されたあと、1人で中へと入っていく牧塵(ぼく・じん)。よもやその男が龍象のふりをした浮屠玄(ふと・げん)の配下で、罠にはめられたとは知る由もなかった。同じ頃、洛璃(らく・り)は浮屠玄に、洛神族と同盟を組む意思があるか再び尋ねるが…。
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第38話
清衍静(せい・えんせい)と天帝の救出、そして天邪神(てんじゃしん)との決戦を前に、皆で心を1つにする牧塵(ぼく・じん)一行。天宮にたどり着いた彼らの行く手を阻むべく、柳慕白(りゅう・ぼはく)や温清セン(おん・せいせん)、慕白率いる屠霊衛が立ちはだかる。ちょうどその頃、天帝も危機に陥っていた。天宮を守る将軍の1人・陸恒(りく・こう)が天邪神により傀儡にされてしまったのだ。天帝は浄魂訣を使って彼を救おうとするも…。
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第39話
牢で待機していた洛璃(らく・り)と牧鋒(ぼく・ほう)。すると突然、格子の1つが開き始めた。状況が好転したのかもしれない――喜んだ瞬間、“天帝、命はもらった”という陸恒(りく・こう)の声が響き渡った。陸恒はすでに天邪神の傀儡と化している。2人は急ぎ天帝のいる大殿へと向かうのだった。その大殿では牧塵(ぼく・じん)たちが陸恒と対峙していた。牧塵の中に浮屠塔があるのを感知した天帝は、彼こそが天帝剣の継承者だと悟り…。
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第40話
清衍静(せい・えんせい)を取り囲む4本の柱にはそれぞれ霊陣があった。1つ目の柱には一部が欠けた霊陣が。牧鋒(ぼく・ほう)が陣を動かすとどこからともなく詩を読む声が聞こえ、突如目の前に炎龍穴の守り人が現れた。詩を手がかりに弱点を見抜き、敵を葬る牧塵(ぼく・じん)。次は囲碁のような霊陣だ。その黒石を動かすと、先ほど倒したはずの守り人が再び現れたではないか。しかも、霊力はもちろんのこと攻撃力も増しており…。
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第41話
神脈が断たれて瀕死となった牧塵(ぼく・じん)を救うには蒼穹の力が必要だった。そこで洛璃(らく・り)は、蒼穹榜――蒼穹の力を呼び出す鍵となる石碑――を守護する太霊(たいれい)族の元へ。目的のものは遥かな山の頂にある。太霊族の長である太冥(たいめい)老祖は、霊脈を損傷した体で行くのは勧められないと忠告するも、洛璃に迷いはなかった。一方の九幽(きゅうゆう)も、牧塵の命を繋ぐため、聖霊丹を求めて寒氷潭にやってきたが…。
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第42話
太霊(たいれい)族の神女になる道を選んだ洛璃(らく・り)。彼女は洛神族の神女の象徴でもあった洛神剣を李玄通(り・げんつう)に託し、一族のことを守るように命じた。そして族長を洛青崖(らく・せいがい)に譲り、聖女の座からも退くことを、皆の前で宣言するのだった。その頃、やっと意識を取り戻した牧塵(ぼく・じん)は、洛璃が自分のために太霊族の神女になり、二度と戻らないことを知る。追いかけるよう促す九幽(きゅうゆう)に、牧塵は…。
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第43話
功力を増した牧塵(ぼく・じん)は、九幽(きゅうゆう)と共に母・清衍静(せい・えんせい)が捕らわれている炎龍穴に、再び足を踏み入れた。今度こそ母を助け出すと誓う牧塵。だが周囲には強力な参商結界が。炎龍穴の守り人である炎龍使曰く、それは結界を攻撃する霊力を吸収するものだという。その時、牧塵は気づく。“参”と“商”は、西と東の空に浮かぶ星の名ではないか。決して出会うことのない2つの星。それが意味するのは…。
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第44話
奪われた陣の核を奪還し、全ての準備は整った。北蒼霊院に姿を現した天邪神(てんじゃしん)と刃を交えながら、巧みに相手を演武台へと誘導する牧塵(ぼく・じん)。それを機に牧鋒(ぼく・ほう)らは大千化魔陣を発動。牧塵を追って天邪神が陣の中心に入り込んだ瞬間、そこを目がけて膨大な光が降り注いだ。一方その頃、柳慕白(りゅう・ぼはく)は、唐セン児(とう・せんじ)に自分の所業を詫びに来ていた。するとそこへ温清セン(おん・せいせん)が…。
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第45話
洛璃(らく・り)に記憶を取り戻させようと、太霊(たいれい)族の地を訪れた牧塵(ぼく・じん)。太冥(たいめい)老祖には拒まれたが、李玄通(り・げんつう)の口添えにより洛璃への謁見は許された。彼女に来訪の目的を問われた牧塵は“知り合いを捜しに来た”と告げ、これまで苦楽を共にしてきた2人の思い出を話して聞かせてみたものの、洛璃には何の変化も見られない。その後、牧塵は取りつかれたように記憶の回復方法を求めて文献を漁り始め…。
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第46話
「この剣を覚えていますか?」――李玄通(り・げんつう)から差し出された洛神剣を見て、洛璃(らく・り)の脳裏に玄通と義兄弟の契りを交わした時の光景が浮かんだ。更に玄通は続ける。“あなたは洛神族の聖女。愛したのは血霊子(けつ・れいし)ではなく牧塵(ぼく・じん)ただ1人です”と。彼の思いが通じたのか、突如として記憶を取り戻した洛璃。だが次の瞬間、天邪神(てんじゃしん)に操られた霊女が、洛璃を殺そうと襲いかかり…。
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第47話
牧塵(ぼく・じん)は天帝剣を使い、首にある邪眼を取り除くことに成功した。命を落とす危険もあったため、一同はほっと胸をなでおろすのだった。だが大変なのはここからだ。天邪神(てんじゃしん)は、2つの神脈を持つ洛璃(らく・り)を利用し、更に力を得る腹積もりだろう。手遅れになる前に、邪眼を埋め込まれ心を支配されている洛璃を助け出さなければ。牧塵は、敵の手に落ちた太霊(たいれい)族の地へ、1人で乗り込もうとするが…。
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第48話 (最終話)
牧塵(ぼく・じん)をかばい、邪霊五毒刺で刺された柳慕白(りゅう・ぼはく)。牧塵は霊力を注いで助けようとするも、慕白は「セン児(せんじ)と子供を頼む…」と言い残して息絶えてしまう。一方、慕白の妨害に苛立つ温清セン(おん・せいせん)は、早く牧塵を殺せと横にいた洛璃(らく・り)に命じる。しかし、脳裏をかすめたとある記憶のせいで、彼女の身はすくんでしまうのだった。業を煮やした清センは、洛璃を人質にとって牧塵を脅し…。
作品詳細
生まれつき霊脈が塞がり、霊力を持たない牧塵(ぼく・じん)。万物に霊力が宿る大千(だいせん)世界において、彼は蔑みの対象でしかなかった。学び舎である北霊院においては、同窓の譚青山(たん・せいざん)と唐せん児(とう・せんじ)の2人だけが、心を許せる友である。霊力はないものの霊陣に精通している牧塵が、とある湖のほとりで“霊縛陣”の修練をしていると、そこに剣を携えた美しい少女・洛璃(らく・り)が。「血神族め」―“霊縛陣”に動きを封じられた彼女は、憎らし気にそう言って剣を抜くと、その切っ先を牧塵に突きつけ…。