ひょう門 Great Protector
巨匠ウォン・カーワイが『グランド・マスター』への参加を熱望した武侠のスペシャリストを始めとする技ありの映画人たちが究極の武侠美学を貫いた硬派アクション大河ドラマの傑作!
- エピソード
- 作品詳細
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第1話 辛亥の用心棒
清代末期、辛亥の年。山西・太谷ヒョウ局の創設者である老ヒョウ師・戴海臣が引退を迎えようとしていた。同じ頃、賊に荷を奪われるという、創設以来初の失態が発生。大ヒョウ頭に任じられたばかりの弟子・劉安順は、度胸試しで土匪を感服させ、荷とヒョウ師の一隊を奪還する。隊を率いていたのは安順にとって恩ある古参ヒョウ師。私的な荷をヤミ売買するため、正規の経路を外れたことが事件の発端だった。安順は情より掟を重んじ、破門と解雇を告げる。
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第2話 鉄帽子王あらわる
荷を襲われた責任を問われ、自ら命を絶った古参ヒョウ師・馬奎。ヒョウ局内ではその処遇をめぐり、掟を頑固に守る劉安順への不満の声が広がり始めていた。そうした中、永代世襲の親王家「鉄帽子王」の子孫を名乗るエルヘが、戴海臣との腕比べを求めて太谷ヒョウ局に現れる。エルヘの供のトン哈は、密勅を帯びたお忍び旅だと語り、隆泰票号の若旦那・謝還に軍資金を出資するよう持ちかけるが…。一方、腕比べを断られたエルヘはヒョウ局に乗り込み…
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第3話 護送隊出立
ヒョウ局の看板を取り戻すため、大ヒョウ頭としてエルヘとの腕比べに臨んだ劉安順。刀を折られた安順は、自ら負けを認める。戴海臣の娘である戎戎(戴戎)がエルヘを倒し、看板とヒョウ局の面目は守られたが、次期後継者の立場にある安順に対しヒョウ師たちの不満はさらに強まった。そんな時、隆泰票号から大金を北京へ護送する仕事が入る。安順は護送隊を率いて出発。この時のために着々と布石を打ってきた土匪・山猫は、荷を奪うべく行動に出る。
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第4話 黒袋の弟子
劉安順が山猫に奪われた荷はおとりだった。すべては戴海臣の土匪殲滅策だったのだ。だが安順は荷を奪われた責任を痛感。太谷ヒョウ局を辞して北京で一から出直すことを決意する。失態を認め、罪ある身となったことで、安順は一門の恥である「黒袋の弟子」の身分に落とされ、新しい輸送路を開拓しない限り復帰のかなわぬ立場に。一方、太谷で山猫の手先として飯屋を営んでいた趙秀も、店を売ってエルヘたちと北京へ向かうことに…
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第5話 北京での再出発
劉安順は母を連れ北京にやってきた。道中を共にしたエルへたちと別れ、太谷ヒョウ局の分局である広順ヒョウ局に向かう。だがそこはヒョウ局とは名ばかりで、ヒョウ師がいないうえに看板さえ掛かっていない。早速、安順は北京八大ヒョウ局へと開業の挨拶に出向くが門前払いをくらってしまう。山西で腕比べに敗れたことが北京にも伝わっていたのだ。北京では同業の彼らに認められなければ仕事ができない。戸惑う劉安順に八大ヒョウ局の元締め杜載山が…。
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第6話 八大ヒョウ局の提灯
劉安順は暗がり峠を縄張りとする土匪の若親分の北京見物を世話することに。成功すれば新たな護送路が確保でき同業からも認められる。果たして、広順ヒョウ局に現れたのは若い女・路瑶テイだった。だが、天津で第9貝勒を拉致し金を奪った犯人逮捕の極秘任務を帯びた巡査の頭・賈克木が瑶テイに目星をつけ、広順ヒョウ局を訪問。同業から認められぬヒョウ局ならば、瑶テイを逮捕すると宣言を。安順は歓迎の証である八大ヒョウ局の提灯を手に入れるべく…。
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第7話 客人と警察
劉安順は北京八大ヒョウ局の提灯を手に入れ、開業にこぎつける。さらに、路瑶テイの逮捕も回避することができた。この件を巡って杜載山が安順側についたことで、ヒョウ門と賈克木の対立が加速するが、杜載山によれば、賈克木は(1)門の背後にいる人物を恐れているがゆえに、手出しできないという。だからこそ北京で商売をするには朝廷の重臣との付き合いが不可欠だと諭された安順は、新たに紹介された荘親王家の警護の仕事を請け負う決心を。
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第8話 師匠の助け船
荘親王家の警護となった劉安順は、ある夜、第9貝勒の護衛として妓楼に同行することに。ヒョウ師が雇い主を妓楼に送迎することは、同業者の恥さらしとして蔑まれる行為だ。折しも出くわした八大ヒョウ局の常鶴は、案の定、安順を激しく侮辱。自責の念に駆られた安順は、苦肉の策を講じる。同じ頃、太谷ヒョウ局の李希平が杜載山のもとを訪れる。北京での安順の窮地を慮った戴海臣が命じた訪問で、銃20丁という破格の手土産を持参していた。
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第9話 さらわれた女土匪
劉安順と戎戎が外出から戻ると、いないはずの路瑶テイが沁格格と待っていた。その夜、賈克木が押し入り、瑶テイを渡さなければ10日後にヒョウ局を封鎖すると言い渡す。一方、警察から逃げおおせたものの山猫に誘拐され、言い寄られた路瑶テイは、安順が許嫁だと出まかせを。そんな中、安順のもとにトン哈が転がり込んできた。2人は瑶テイ捜索のため襪親分を訪ねるのだが、襪は一方的に難癖をつけたうえ、ヒョウ局にやって来て座り込んでしまった。
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第10話 反清勢力の暗躍
安順は、路瑶テイを誘拐した山猫のねぐらに足を踏み入れる。しかし、そこに現れた張端和が救出を阻む。端和は太谷で戴海臣に命を助けられた恩義を返すため、安順に手心を加え、10日後に決着をつけることを提案。だが現状では安順に勝ち目はない。そこで安順は夏啓尊のもとを訪ね、武芸の指南を請うものの、自分の信念を曲げることができずに断念する。その時、安順は夏のもとに集まっている反清勢力の面々を目撃するのだった。
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第11話 格格の縁談
沁格格に袁世凱の息子との縁談が持ち上がった。安順は革命派の袁世凱暗殺計画に巻き込まれた格格と、袁世凱をも救うことに。縁談が消えて喜ぶ格格は安順に銃を贈り、袁世凱は恩人の安順に返報を約束する。都入りし、鍛冶を訪ねた戴海臣は制作中の刀が安順のものだと見抜いて鍛冶職人に助言を。完成した鍔のない刀を使って端和との決闘に勝った安順だが、希平の尾行をとがめられ10日間の約束で路瑶テイを人質として残すはめになる。
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第12話 暗がり峠の首領
劉安順はヒョウ局の代表として役所に連行された。しかし袁世凱と沁格格の口添えによってほどなく釈放となり、賈克木をいらだたせる。同じ頃、戴海臣とともに都入りしていた謝還が革命派のイェン金水と密会。3日後に武器が東郊に届くことを知らせる。一方、戴海臣は夏啓尊のところにいた山猫を連行し、かつて捻軍で志を共にした路宗山の砦を訪れる。今は亡き元帥の忘れ形見である山猫の性根をたたき直してもらおうという思惑があったのだ。
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第13話 酢が好きな許婚
劉安順は路瑶テイを助ける為に、反清勢力の武器の輸送を引き受ける。そんな安順への感謝の気持ちを込め、解放されてヒョウ局に戻った瑶テイは、自ら腕をふるい豪華な料理を。ヒョウ局の面々が玄人はだしの料理に舌鼓を打っているところに顔を出した戎戎は、安順と瑶テイに嫉妬し不安を募らせる。一方、希平は上京した謝還の腕輪に目を止め、謝還と反清勢力のつながりを疑う。そして秘密裏に探りを入れ、安順が武器輸送に関わっていることを知る。
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第14話 革命派の荷
泥酔した李希平の呟きから劉安順が反清勢力の荷を護送すると知った賈克木は、安順の護送隊を追う。暗がり峠への帰途にいた路瑶テイは、機転により護送隊を逃すことに成功するが、賈に銃で撃たれてしまった。負傷した瑶テイを宿に運んで看病する安順。瑶テイはそんな安順に恋心を抱き始めていた。しかし、安順を心配して追ってきた戎戎が、二人が同室にいるところを見て激怒。部屋を飛び出してしまう。取り乱す戎戎に希平は…。
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第15話 峠の新入り
さらわれた山猫を救出しようと、張端和が暗がり峠を訪れる。そこで目にしたのは、拷問を受けて息も絶え絶えになった山猫だった。下山を促す端和を無視して、山猫は路宗山に子分になりたいと願い出る。一方、路瑶テイの怪我により足止めされていた劉安順の護送隊だったが、瑶テイが置き手紙を残して宿を去ったことで再び護送の途についた。戎戎は和解せぬまま出発してしまった安順への思いに悩み、李希平の勧めもあって隊を追うことに。
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第16話 濡れ衣と落とし前
正式に路宗山の子分となった山猫は、自分を制裁しようとした李二奎を殺害する。その頃、劉安順は、途中で出会った路瑶テイと連れ立って挨拶のため暗がり峠を訪れ、路宗山から歓待を受けていた。酒を酌み交わそうとした時、護送隊が李二奎を射殺したとの知らせが届く。山猫が仲間殺しの罪を着せたのだ。瑶テイは自分を辱めようとした山猫が峠に潜り込んでいるのを知って憤慨するが、すでに入門した後とあって手を下すことは許されず…。
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第17話 途上の戦火
李希平は、劉安順と路瑶テイの仲を勘ぐり傷心している戎戎に長年の恋情を打ち明けるも、平手打ちを食らう。翌日、戎戎は街で偶然再会したウィルソン神父との会話によって、心の安らぎを得た。劉安順の護送隊がルゥァン洲に入ると、蜂起した革命派によって銃撃戦が始まった。荷主のイェン金水はすかさず荷をほどいて数十丁の銃を取り出し参戦する。一方、山猫は路宗山の思惑により小頭に昇格するとともに、火器の調達を命じられる。
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第18話 劉安順の帰郷
路瑶テイは山猫を追い出すため賭けをするが、いかさまがばれて失敗。そして、路宗山に釘を刺されながらも恋心を抑えられず、劉安順のところへと向かった。太谷ヒョウ局には多額の手土産とともに許旅団長が訪れ兵士への武芸の訓練を依頼するが、許の下心を見抜いた戴海臣はきっぱりと断る。安順がようやく太谷へ帰郷。戴海臣から戎戎との結婚の許しを得て、改めて自分の思いを告げに向かった時、戎戎の過ちと李希平の本心を知るのだった。
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第19話 退位の詔書
劉安順、李希平、戎戎の絆は壊れた。傷心した安順は自身を責めながら荒野をさまよううちに、待ち伏せしていた路瑶テイと再会。酔った安順は希平への怒りを瑶テイに吐き出す。瑶テイは破談を知って喜び、ますます恋情をつのらせるが、安順はつれない。皇帝が退位を宣言し、中華民国が誕生。エルヘは袁世凱が退位を強いたと激怒し、暗殺に向かう途中で捕らえられる。安順も日頃から目の敵にされていた賈克木の取り調べを受けることに。
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第20話 新時代の始まり
釈放された劉安順はエルヘの救出に奔走。袁世凱を動かし放免を勝ち取った。諦めないエルヘを安順は手合わせで倒し、袁世凱暗殺の断念を約束させる。明けて1912年、中華民国が成立。広順ヒョウ局にも街にも新しい風が吹き始めた。賈克木は分署長に昇進。襪親分は「治安協力委員」の肩書を手に入れ、街で人々の辮髪を切り落とす騒ぎを起こす。一方、軍では土匪討伐の号令が発せられ、暗がり峠にも交渉役としてイェン金水がやってくる。
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第21話 略奪の町
賭けに負けた襪親分は、面子を取り戻すためヒョウ局を訪ねるが、劉安順の直言に改心を決意する。路宗山は帰属の条件として弾丸2万発をイェン金水に持ちかけた。一方、沁格格は安順に南方政府代表の護衛を依頼。しかしその夜、軍事反乱が起き、北京は破壊される。翌日、襪親分が、火事場泥棒を働いていた子分を叱責しているところに賈克木が現れた。逮捕され、冤罪により処刑される襪親分を、安順はなすすべもなく見つめるのだった。
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第22話 火の車
太谷ヒョウ局が輸送経費の急増で経営難に陥る中、李希平は許旅団長からアヘンの私的な輸送を持ちかけられる。ヒョウ門の掟でも扱いは禁止だが、ヒョウ局と、戎戎との結婚生活の経済的不安に加え、許の脅迫ともとれる説得もあり、やむなく同意してしまう。山猫は武旅団長の部隊を襲撃し、護衛されて移動中だった旅団長のひいき役者・小翠宝を拉致。路宗山は、イェン金水に依頼された階級授与式への出席を承諾し、条件である銃弾の到着を待つ。
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第23話 師からの白袋
広順ヒョウ局を訪れた戴海臣は、劉安順の黒袋を白袋に戻して太谷ヒョウ局の次期総ヒョウ頭となるよう命じるが、安順から独立の意向を伝えられ引退後の蓄えを出資金として差し出した。そして、ヒョウ師と土匪の結婚はご法度だと念押しし、路瑶テイへの気持ちにけりをつけるよう促す。その後、蔡特使の依頼で孫文の護衛のため張家口行きの汽車に乗った安順は、物売りに化けていた強盗団と乱闘に。同じ車両には瑶テイがこっそり乗り込んでいた。
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第24話 宿願の対決
ようやく互いの思いが通じた劉安順と路瑶テイ。一方、ヒョウ局では改心したトン哈が持ち前の商才を発揮していた。安順の仕事が軌道に乗ったのを見て上機嫌の戴海臣であったが、帰り際、ヒョウ局を訪ねた夏啓遵と再会。夏啓遵はかつての無念を晴らすため、戴海臣に手合わせを申し出る。結果、戴海臣の譲歩により二人のわだかまりは解かれた。安順は、掟を守れという師の言葉に悩みながらも、瑶テイと一緒になる決意を母に打ち明けるのだった。
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第25話 結婚の申し入れ
秀児は心配しながらエルヘを待つ日々に耐えかね、ついに広順ヒョウ局を出ていってしまう。一方、護送を終え太谷に戻った李希平は、戴海臣に劉安順を引き合いに出され「長い目での経営策を」と諭されたことで心にわだかまりを残す。暗がり峠では、山猫が国軍と路宗山の間に亀裂を入れようと国軍の山砲を強奪。そうした中、イェン金水の依頼で銃弾を運んできた安順たちの一行が峠に到着した。安順は路宗山に、瑶テイとの結婚の許しを請うが…。
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第26話 新たな大親分
路宗山が軍の階級授与式に出席。会場で参謀の高文彬が謀反を起こして武旅団長を射殺する。逃走中の流れ弾で負傷した路宗山は臨終の際、劉安順に娘の路瑶テイを託し、山猫を後継者に指名。だが父親の仇討ちを決意していた瑶テイは、土匪と関わってはならない安順の立場を慮り、巻き込まぬよう別れを告げて山猫たちと出立する。一方、沁格格は北京を去ることを決め、東北までの護衛を安順に依頼。安順は、友人としての同行を快諾する。
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第27話 友情の護送
広順ヒョウ局では人手が足りず、皆が趙秀に戻って来てほしいと思っていたが、エルへの日参は実を結びそうにもない。そこでトン合が一計を案じる。劉安順は沁格格の護衛として東北へ。その道中、行き倒れた難民のそばで泣く少年・劉振武に出会う。安順らに演武を見せて、ヒョウ師にしてほしいと訴える振武を、安順は隊列に加えることに。その頃、太谷の李希平は、アヘン輸送の成功に満悦の許旅団長から、出産の前祝い金まで受け取っていた。
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第28話 少年たちの弟子入り
暗殺を断念して以降のエルへの奇行に悩む趙秀は、トン哈の入れ知恵でエルヘが大切にしている鎧を燃やすことに。だが、それが逆効果となってエルへは心を閉ざしてしまった。トン哈が見つけてきた史医師は、エルヘを診察したあと、趙秀を観劇に誘う。一方、馬奎の妻から息子・馬彪をヒョウ師にしてほしいと頼まれた戴海臣は広順ヒョウ局へ。難民の子・劉振武とともに劉安順に弟子入りする。それから3年。二人は毎日厳しい修練に励んでいた。
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第29話 アヘン輸送の発覚
検問で護送隊がアヘンを積んでいたことが発覚し、李希平は身柄を拘束される。首謀者の許旅団長は、すでにアヘン転売の疑いで取り調べを受けていた。希平の行為はヒョウ門追放に値するが、戴海臣は弟子への情から、大ヒョウ頭の解任と反省のための謹慎のみを命じる。さらに、太谷ヒョウ局の先行きを案じて広順ヒョウ局との合併を決定し、劉安順もこれを承諾。そして、次の護送を、自分と安順、そして安順の弟子たちの師弟三代で行うことを提案する。
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第30話 一代の終焉
師弟三代で護送の旅に出た安順と戴海臣は、道中で兵匪(盗賊と化した兵)に遭遇。それは路瑶テイたちが追撃中の仇・高文彬の旅師団だった。戴海臣は荷を無事に通すべく、群れ成す兵士たちをたった一人でなぎ倒す。鬼神のごとき奮戦を見せるも、ついに高の放った銃弾が命中し、ヒョウ門は伝説のヒョウ師を失った…。悲しみの中、様々な弔問客が訪れる。そんな中、李希平は「太谷ヒョウ局を広順に吸収する」という師匠の遺志を聞いて強く反発し…。
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第31話 消えた護送隊
父の仇を討つために李旅師団に属していた路瑶テイは、戴海臣の葬儀に参列後、用事を済ませると言い、広順ヒョウ局をあとにした。李希平は、謝還からの最後の依頼である銀子の護送のため、家族を置いて一足先に北京を出立。1か月後、瑶テイは父の墓前で報復が終わったことを報告し、山猫に脅されながらも暗がり峠をあとにする。その頃、希平が荷と共に消えたという報せが劉安順のもとへ。捜索のため護送路へ向かうと、衝撃的な光景が…。
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第32話 希平の大罪
李希平は除隊した許と結託して、謝還の銀子を横領するため同門のヒョウ師たちを殺害していた。劉安順が希平に追いつき、掟に従って銃殺しようとする。だが、居合わせた戎戎の懇願を聞き、足を撃つのみにとどめて、兄弟の関係を断つと言い渡す。洪憲帝(袁世凱)の崩御後に昇進を果たした賈克木は、各ヒョウ局に銃所持の禁止令を通達。安順や同業者は段祺瑞に請願書を渡そうとするが賈克木に阻止され、各ヒョウ局は閉鎖処分を受けることに。
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第33話 時代の逆風
劉安順は杜載山の助言により商会から協力を得て、銃の接収を回避。夫の蛮行を知って心が不安定となった戎戎は、広順ヒョウ局に幼い娘を託す決断を。賈克木の目を避けるため夏啓尊の下に身を寄せた路瑶テイは、路宗山の死に責任を感じて謝罪するイェン金水に銃を向ける。袁世凱の死、張勲復辟とその失敗、段祺瑞の台頭…混乱する時代の中、広順ヒョウ局の荷が城外の部隊に奪われる。安順は賈克木に陳情するが、強奪した部隊の上官は山猫だった。
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第34話 炎に消ゆ
李希平は劉安順を殺害しようと、金を渡して山猫の部隊の大隊長となった。一方、路瑶テイをどうしても我がものにしたい山猫は、安順に決闘を申し込むことに。その晩、山猫たちが安順を待っていると、偽の果たし状で別の場所に向かった安順が地雷や銃の攻撃を受けていた。同じ頃、安順不在のヒョウ局に希平が放火。ヒョウ局は全焼し、近隣にも被害を出した。翌日、罠にはめられたと憤る安順が改めて山猫に戦いを挑むと、張端和が割って入り…。
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第35話 対立の泥沼
馬彪の父親の自害に劉安順が関係しているという話を馬彪に吹き込んだ者が、安順を罠にはめヒョウ局を焼いたのではと、路瑶テイは疑いを抱く。山猫を訪ねて問いただしたものの情報は得られなかったが、その帰路、張端和から、放火は李希平の仕業だと告げられる。その頃、希平は戎戎を教会から強引に連れ戻し、娘の蘭蘭に会わせろと迫っていた。安順のもとに預けられていると知った希平は、戎戎を隠れ家に閉じ込めて広順ヒョウ局へ向かう。
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第36話 牢の中の誓い
賈克木の手に落ち、投獄された路瑶テイ。獄中では子分の老三と老四が拷問で死んでしまった。劉安順は賈克木に談判し、獄中の瑶テイに面会。救出を約束する。山猫は李希平を呼び出して、捕らえていた戎戎の前で希平が手に染めた悪事をぶちまけた。そして、アヘンのキセルを見せられ依存症状が出た希平から、瑶テイの居所を聞き出す。その頃、皆の思いもむなしく、瑶テイの処刑が決まった。安順は大きな危険を覚悟しながらも救出に向かう。
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第37話 山猫の覚悟
路瑶テイ処刑の前日、救出のため山猫が街に潜入。夜、劉安順と酒を飲みつつ語らうが、安順にしびれ薬を飲ませるための策略だった。翌日、囚人車を襲った山猫は乗っていた女装の男に銃殺される。安順は牢の外で待ち伏せて瑶テイの奪還に成功。杜載山の協力を得て城外へ脱出する。馬に乗った二人を見つけた李希平が射殺をためらっていると、賈克木が発砲。銃弾が瑶テイに命中した。その時から賈克木は、安順の報復を恐れる日々を送り…。
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第38話 (最終話) 掟は死なず
劉安順は賈克木の首を取り、1年越しでついに路瑶テイの仇を討った。戎戎は安順の母の墓に餃子を供え、李希平の改心を願う。広順ヒョウ局には、総理府の侍衛の職を離れた杜載山も加わり、最後の護送の旅が無事終了。急激に変化する民国の時代は、もうヒョウ師を必要としていなかった。ヒョウ局を閉じると決めた安順は、その前に、仲間を殺した希平をヒョウ門の掟によって処罰すると決意。かつて仲の良かった兄弟弟子が、荒野で命を懸けて対決する…。
作品詳細
旧暦辛亥の年(1911年)、混乱を極める時局。山西で商売する太谷ヒョウ局のヒョウ頭・戴海臣(たい・かいしん)は、還暦を機に引退を考えていた。真面目で義に篤い性格の一番弟子・劉安順(りゅう・あんじゅん)に後を継がせ、愛娘の戴戎(たい・じゅう)と結婚させるつもりだ。だが戴戎は、劉安順の頑固で潔癖すぎる性格を心配していた。戴海臣の還暦祝いの日、安順は、規則を破ってヒョウ局を通さず個人的に仕事を請け負った馬奎(ば・けい)ヒョウ師を叱咤しヒョウ局から去るよう言い渡す。馬奎に同情した師弟たちは「病気の子供の治療費のためにやったこと」と庇ったが、規則は規則。安順は、そう言い捨てて背中を向けた。その言葉を聞いた馬奎は、諦めたように自らに銃口を向ける。ヒョウ局に戻った安順は、師匠へ報告後、馬奎の葬式に向かう。掟を破りの馬奎には、ヒョウ局からは何もしてやれない。そのため、個人的に馬車を贈る安順だったが、それが馬奎の妻の怒りを更に燃え上がらせてしまった。居合わせた師弟たちからも冷たい視線を浴びていると、父親の名代で戴戎がやって来た。戴海臣の伝言は「ヒョウ局所属の人間として弔いを」。自戒の念に苛まれて逃げるようにその場をあとにした安順は、後日、商売敵によって濡れ衣を着せられ、太谷を追われることになる。遠く北京に居を移して広順ヒョウ局を開業したが、余所者ゆえ同業の仲間には入れてもらえなかった。そこで、新たな護送路を開拓するため、北京にやってくる土匪の女、路瑶テイ(ろ・ようてい)の接待と護衛を引き受けることに。ところがその時、用事で北京にやってきた戴戎が安順と瑶テイの関係を誤解してしまう。そこにつけ込んだ安順の弟弟子、李希平(き・りへい))は、以前から想いを寄せていた戴戎を我がものに。そんな中、巡査の頭・賈克木(か・こくぼく)との対立を深めていた安順は、革命派による袁世凱(えん・せいがい)暗殺計画に巻き込まれ、瑶テイは山猫(やまねこ)と呼ばれる土匪に拉致される。安順は瑶テイを救出するため、革命派の要求に応じ武器の輸送を請け負うのだった…。