つつんで、ひらいて
「読者が思わず手に取る美しい本」が生まれる、その舞台裏へ
2019年 93分
予告編
作品詳細
文字の書かれた紙を、くしゃくしゃにして、ひろげる。丁寧に平らにしてコピーをとる。満足げに眺める。男がなにをしているのか。わたしたちはまだわからない。彼の名は菊地信義。装幀家である。菊地はいま、新しい本の表紙にふさわしい文字を創っている。くしゃくしゃにして、ひろげ、コピーすることで、文字はかすれ、独特の風合いを醸し出す。これもブックデザインにおいては、とても重要な仕事のひとつだ。見つめるのは、菊地の指先から生まれる、製本にいたるまでの「ものづくり」の過程。そこから「本を装幀する」行為の一部始終が具体的に浮き彫りになる。それと同時に、菊地の担当編集者や弟子のデザイナーらの証言が、頑固に一途に、本そのものと向き合い、変わりゆく時代の中で変わらない仕事を掴みとる人間の姿を映し出す。「デザインは設計ではなく『こさえること』」と語る菊地信義。銀座の事務所、そして鎌倉の自宅。彼の行動、言動を慈しむように追いかけていく。
キャスト
菊地信義スタッフ
[監督]広瀬奈々子[プロデューサー]北原栄治(C)2019「つつんで、ひらいて」製作委員会