昭王~大秦帝国の夜明け~
始皇帝が成し遂げた“天下統一”、その礎を築いたのは一人の悩める王だった―。
予告編
- エピソード
- 作品詳細
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第1話 大王への道
秦王・エイ稷(えい・しょく)は、戴冠後も母の宣太后(せんたいこう)に朝廷を牛耳られ、放蕩生活を送っていた。そんなある日、楚が婚姻による同盟を申し出る。しかしその数日後、魏冉(ぎ・ぜん)大将軍の誕生祝いの席で楚の人質、ビ横(び・こう)太子が秦の大夫を殺害する事件が起こる。怒ったエイ稷(えい・しょく)はその場で楚との同盟を解消すると宣言してしまう。軽率なエイ稷(えい・しょく)を責める宣太后だが、魏冉はこの機に乗じ威嚇作戦を提案し、秦軍は楚に向けて出陣する。
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第2話 王を凌駕する名宰相
楚からの講和を受け入れた秦。そんな折、甘茂(かん・ぼう)丞相が燕の特使、蘇秦(そ・しん)を伴って現れる。蘇秦の来訪目的が気になるエイ稷(えい・しょく)。そんなエイ稷(えい・しょく)に蘇秦は魏冉を遠ざけるなと進言する。一方、斉に去った甘茂丞相を呼び戻すため、エイ稷(えい・しょく)は2人の弟と韓聶(かん・じょう)を斉に送る。しかしこれには別の目的があった。同じ頃、蘇秦もまた、斉にやって来ていた。4人は名宰相と名高い薛公・田文(でん・ぶん)の屋敷に招かれ歓待を受ける。
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第3話 楚王来駕
帰国した弟たちから、楚を断ち斉と結ぶべしという韓聶の書簡を受け取ったエイ稷(えい・しょく)。エイ稷(えい・しょく)はこれに乗り気だったが、宣太后の出方が気がかりだった。そこでエイ稷(えい・しょく)は楚王を秦に招待することに。しかし楚の左徒屈原(くつ・げん)は、これを秦の策略だと楚王に進言する。一方、エイ稷(えい・しょく)は白起(はく・き)を訪ね、戦の準備を促していた。そんな中、来駕した楚王はエイ稷(えい・しょく)の手荒な出迎えに怒りを露わにする。宣太后は楚王の機嫌を取るが…。
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第4話 新王擁立へ
王が捕らえられたと知った楚の朝廷は混乱を極めていた。そんな中、楚の太傅、慎子(しんし)は新王を立てるべきだと言い出すが、屈原はこれに強く反対する。しかし朝廷はこの案を支持。王を崩御したことにし、慎子は斉にいるビ横(び・こう)太子を呼び戻しに向かう。だが蘇秦は突然の楚王の崩御を怪しみ、ビ横(び・こう)太子の帰国に際して言葉巧みに自ら領土を割譲させる。その頃、秦には楚の子蘭(しらん)王子がやってきていた。
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第5話 王たちの思惑
楚王に即位したビ横(び・こう)のもとに領土割譲の国印を要求する斉の特使がやって来る。朝廷では受け入れか拒否か出兵かと議論が巻き起こるが、妙案を思いついた慎子は斉と秦に使者を送る。これにより子蘭王子から援軍を要請されたエイ稷(えい・しょく)は派兵を決断する。一方、斉ではわずかな領土を巡る争いを諌める田文に対し、王は怒りを露わにしていた。そんな田文をエイ稷(えい・しょく)は側近として迎え、丞相の座を与える。
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第6話 裏切りと策略
田文に疑いの目を向け、斉を信じないようエイ稷(えい・しょく)を諭す宣太后。その頃、丞相府では田文と魏冉がにらみ合っていた。田文への敵意をむき出しにする魏冉。そんな中、エイ稷(えい・しょく)は田文に外戚排除に力を貸すよう促す。一方斉では、田文が秦の丞相に迎え入れられたことが王に伝えられていた。苦々しさを隠し切れない王に蘇秦は秘策があると告げる。その夜、田文は丞相府が焼き討ちに遭うと知る。
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第7話 進攻の名分
斉に戻った田文が秦に進軍して勝利すれば、斉王は益々軽んじられると言う蘇秦。蘇秦は宋を攻略して秦を討ち取ることで、王の大計とみせるよう斉王に進言する。その頃秦では、お荷物となった楚の太上(だいじょう)王を秘密裏に逃亡させていた。しかし逃亡した太上王は楚にも受け入れられず、趙にも拒否され、魏にやって来る。魏の本営にいた田文は秦を討つ名分にするべく瀕死の太上王を秦に送り返す。
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第8話 三強国へ
田文率いる斉、魏、韓の連合軍に攻撃された秦。エイ稷(えい・しょく)は自分の愚かさを恥じ、魏冉を丞相に任命する。魏冉は秦が優勢かのような余裕を見せ、魏王と韓王に撤退すれば領地を返還すると約束する。一方、燕から奇襲を受けた斉王は宋を攻撃中の蘇秦を急きょ呼び戻す。こうして斉を倒す蘇秦の計略はとん挫してしまう。勢いを得たエイ稷(えい・しょく)は魏、韓を攻め、戦国の世は斉、趙、秦の三つ巴の時代に入る。
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第9話 大国を目指す
蜀によって暗殺の危機に遭遇したエイ稷(えい・しょく)は、自ら蜀に赴き民心平定のために治水事業を進める。その頃、白起は趙からやって来た趙蔓(ちょう・まん)という女に出会う。ろくでなしの義父を殺して逃亡中だという趙蔓を雇い入れる白起。一方燕では、蘇秦が密偵として再度斉に赴くと王に告げていた。燕妃、姫狐(き・こ)への想いから犠牲をも厭わない蘇秦を労わる燕王。こうして蘇秦は燕の王子を人質として伴い、斉に赴く。
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第10話 計略の目的
蘇秦は趙の宰相、奉陽(ほうよう)君に財宝を贈り、宋に進攻する斉を見逃すよう願い出る。これに対し奉陽君は財宝ではなく領地を要求する。そんな中、蘇秦の動きを注視していたエイ稷(えい・しょく)のもとに蘇秦を総帥として斉、趙、韓、魏、燕の連合軍が秦征伐に向かっているとの報が入る。これを受けてエイ稷(えい・しょく)は蘇秦を呼び出すが、蘇秦は悪びれもせず、連合軍は斉を欺くための見せかけで、自分は秦の味方だと告げる。
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第11話 真意を探る
蘇秦が奉陽君に捕らえられたと知り驚く韓徐為(かん・じょい)将軍。蘇秦から宋滅亡後の領土割譲に関する斉王と奉陽君の密約を聞いた韓将軍は、奉陽君に詰め寄る。しかし蘇秦は、韓将軍は秦と通じていると言い出し、奉陽君は蘇秦の話をすべてデタラメだと一蹴する。蘇秦の話が気になった韓将軍はエイ稷(えい・しょく)と密談し、斉討伐という蘇秦の大計を知る。私腹を肥やす奉陽君を捕らえさせた韓将軍は秦との戦闘を偽装する。
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第12話 列国を率いて
一度は斉王の信頼を取り戻した蘇秦だったが、奉陽君の告発で再び疑惑を呼ぶ。しかし斉王はどちらを信じるか決めかね、2人とも投獄する。そんな中、秦と不干渉盟約を結んだ斉は宋に進攻し、列国の怒りを買っていた。こうして斉攻略の名分を得たエイ稷(えい・しょく)は列国を束ねるため、斉討伐後の領土割譲を放棄すると明言し、連合軍は斉討伐へと動く。一方、魏冉は田文にある取引を持ちかけていた。
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第13話 丞相の計略
魏冉は白起に、いずれ自分のものとなる陶邑の地を取り囲む魏を攻めよと命じる。私利私欲のための出兵に難色を示す白起だが、すでに事は動き出していた。こうして魏の王都、大梁へと向かった白起だったが、そこには田文が待ち構えていた。白起の軍は魏軍に取り囲まれ、田文はその間に趙と燕に援軍を要請する。魏冉の勝手な行動を知ったエイ稷(えい・しょく)は、丞相の地位をはく奪し趙と燕に交渉を持ちかける。
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第14話 天下の至宝
王室に寵愛されてきた役者、魏優旃(ぎ・ゆうせん)の死で、息子の醜夫(しゅうふ)は宣太后の側仕えになり、娘の伶優(れいゆう)はエイ稷(えい・しょく)の後宮に迎えられる。宣太后はエイ稷(えい・しょく)が伶優に美人の位を授けると聞き、怒りを露わにする。一方、趙から連れ帰った趙蔓の介抱で怪我から回復した白起は、趙蔓と婚礼を挙げることに。そんな中、エイ稷(えい・しょく)は宣太后の機嫌を取るため、和(か)氏の璧という天下の至宝を贈ろうと考え、それを持つ趙王に韓聶を遣わす。
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第15話 楚討伐
エイ稷(えい・しょく)の提案した和(か)氏の璧と秦の15城との交換に疑念を抱く趙王は、特使に璧を送り返したフリをさせる。璧の一件で宣太后(せんたいこう)を怒らせたエイ稷(えい・しょく)は、和睦のため趙王を秦に招く。その一方、天下統一を急ぐエイ稷(えい・しょく)は楚討伐に乗り出す。統帥を命じられた白起(はく・き)は都を水攻めにすることを思いつく。白起は水攻め実施の前に楚の民に避難と投降を勧告するが、彼らはそれを信じず、多数の死者が出てしまう。
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第16話 さらなる脅威
滅亡間近だった斉は王の遠戚、田単(でん・たん)の働きで70余りの城を奪還。田地(でん・ち)の子が王を称することに。一方、エイ稷(えい・しょく)は伶優(れいゆう)が一族の仇を討つために自分に近づいたと知る。だがエイ稷(えい・しょく)は伶優を処刑しようとする宣太后に最後まで抵抗し、冷宮送りで決着させる。そんな中、義渠県令の義渠駭(ぎきょ・がい)がやって来る。君の称号が欲しいという義渠駭を怪しむエイ稷(えい・しょく)。義渠の再興を目指す義渠駭は趙王に秦への進攻を促していた。
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第17話 因縁を断つ
韓の丞相によって、魏、韓、趙、義渠が秦を討つ盟約を交わした事実が伝えられ、義渠駭が君の称号を得て秦討伐に乗り出すと知ったエイ稷(えい・しょく)。宣太后と義渠駭の仲を知る臣下たちは義渠駭を討つことをためらい、エイ稷(えい・しょく)を激怒させる。しかし、宣太后の胸の内は決まっていた。処遇を任せるようエイ稷(えい・しょく)に告げる宣太后。こうして宣太后から封君の日を知らされた義渠駭はその日を決行の日と定めるのだが…。
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第18話 賢者の登場
独断で魏へと侵攻し、威勢を振るう魏冉(ぎ・ぜん)。魏の食客、范雎(はん・しょ)は主を捨てて魏冉に仕えようと近づくが、魏冉は全く相手にしない。そんな范雎の裏切りはすぐに主にばれ、杖刑に処せられてしまう。気を失い死んだと思われた范雎だが、下人の鄭安平(てい・あんぺい)に救われてなんとか生き延びる。名前を変え張禄(ちょう・ろく)と名乗り秦の特使、王稽(おう・けい)を呼び寄せた范雎は秦に投降したいと訴える。突然の申し出に困惑する王稽だが…。
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第19話 外戚排除
機転の利く張禄が気に入った王稽は范雎をエイ稷(えい・しょく)に推挙するが、エイ稷(えい・しょく)は興味を示さない。王稽のもとに残った張禄はそこでエイ稷(えい・しょく)を深く観察し、ついに拝謁を果たす。張禄は、外戚を退けなければ天下統一の悲願は果たせないとエイ稷(えい・しょく)に説く。これにより、客卿として軍務の策定に当たることになった張禄。魏冉は張禄をあからさまに罵るが、張禄は魏冉が私腹を肥やしている事実を挙げて、魏冉を弾劾する。
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第20話 閼与(えんよ)の戦
軍事を任された張禄は魏と結んで趙を攻略せよとエイ稷(えい・しょく)に進言し、手始めに太子を人質として魏に送らせる。溺愛する孫の出立に衝撃を隠せない宣太后。次に張禄は庶民出身の胡傷(こ・しょう)を総帥として推薦する。一方、趙では軍を率いる趙奢(ちょう・しゃ)が胡傷を油断させ、その隙に宰相の趙勝(ちょう・しょう)が魏に赴いて太子を殺害するという暴挙に出る。この事態に魏王は趙への援護を余儀なくされ、秦軍は趙と魏の両軍から攻められる。
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第21話 一時代の終わり
死期を悟った宣太后は、醜夫(しゅうふ)に自分の波乱の生涯を話して聞かせる。そんな母のもとに通うエイ稷(えい・しょく)。だが宣太后はエイ稷(えい・しょく)に会おうとしない。一方、追放したビ戎(び・じゅう)と魏冉がいまだに咸陽に留まっていることにエイ稷(えい・しょく)は苛立つ。そのビ戎(び・じゅう)と魏冉はエイ稷(えい・しょく)への不満を宣太后にぶつけていた。宣太后は原因を作った2人を責めるが、魏冉は納得しない。そんな中、宣太后はエイ稷(えい・しょく)と孫の子楚(しそ)を呼びよせ最後の時を過ごす。
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第22話 恨みを晴らす
宣太后が逝去し魏冉も去った王宮でエイ稷(えい・しょく)は、安国君・エイ柱(えい・ちゅう)を太子の座に就ける。丞相となった張禄は、質素だが恩も恨みも決して忘れない人物だった。自分を助けてくれた鄭安平と王稽に恩を返した張禄は、次に自分を足蹴にした須賈(しゅ・か)に仇を討とうと考えていた。折よく、須賈が特使としてやって来る。張禄を見るや慌てて命乞いをする須賈。張禄は魏の丞相、魏斉(ぎ・せい)の首を要求するが…。
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第23話 駆け引きの行方
魏斉をかくまう趙の平原君を秦に迎えるエイ稷(えい・しょく)。歓待の席でエイ稷(えい・しょく)は平原君に魏斉を差し出すよう迫るが、平原君はこれを断る。そこでエイ稷(えい・しょく)は平原君を人質に趙王と駆け引きすることに。そこには、いつか対戦するであろう趙の力を見極めたいというエイ稷(えい・しょく)の思惑があった。一方、趙王は秘密裏に魏斉を逃がしていた。しかし頼みの綱だった魏の無忌(むき)公子に拒絶された魏斉は絶望して自ら命を絶ってしまう。
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第24話 天下統一への第一歩
天下統一のため、エイ稷(えい・しょく)は張禄の策を取り入れて韓に進攻。要所である上党郡の割譲に成功する。だが上党の民衆は一斉に反発し、趙に投降してしまう。これに怒った張禄は趙攻略を進言。エイ稷(えい・しょく)もまた今が好機と考えるが、指揮を任せたのは白起ではなく王コツ(おう・こつ)だった。複雑な表情を浮かべる白起。秦軍は数で苦戦を強いられ、朝廷では撤退すべきとの声が上がっていた。それでもエイ稷(えい・しょく)は進軍を強行する。
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第25話 続く膠着状態
趙攻略に乗り出す秦軍。趙の廉(れん)将軍は地形を生かして長期戦に持ち込む。王コツ(おう・こつ)はそんな廉将軍を挑発するが、趙軍は一向に動かない。こうして膠着状態が続き、朝廷は撤退を進言するが、エイ稷(えい・しょく)の意思は固かった。その頃、趙王は列国と結んだと見せかけて秦と和睦しようと画策していた。だがエイ稷(えい・しょく)は趙王の魂胆を見抜き、魏に白起を送る。一方、趙と秦の講和を聞きつけた列国は会談への列席を申し出る。
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第26話 同盟を崩せ
白起の来訪に不安を募らせる魏王。一方、張禄は趙の趙勝との講和会談に臨んでいた。上党解放を迫る趙勝。だがそこに現れた韓王は上党を秦領と認めてしまい、趙勝は驚きを隠せない。その頃、魏では白起が刺客に襲われていた。無忌公子に助けられた白起は趙、楚、魏の三国同盟を察知し、戦いの要所、垣雍を韓から借り受ける。白起暗殺に失敗した楚と魏はすぐさま同盟を組み、垣雍に集結する。
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第27話 不足する兵糧
3年目に入った長平の戦。両軍とも兵糧の確保に窮していた。張禄(ちょう・ろく)と白起(はく・き)は撤退を進言するがエイ稷(えい・しょく)は聞かない。張禄は楚の国境付近に配備する兵を長平に回すため、楚との同盟を急ぐ。一方、趙もまた膠着状態にいら立ち、長期戦を主張した廉頗(れん・ぱ)将軍を退け、速攻を主張していた趙括(ちょう・かつ)を呼び寄せることに。その頃、蜀で兵糧を調達することになった白起は運搬のために桟道工事に取り掛かっていたが…。
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第28話 戦略の是非
趙王の前で自信たっぷりに戦略を披露する趙括。その頃、白起は蜀の民とともに兵糧を運搬していた。こうして待ちに待った兵糧が長平に届けられる。喜ぶ兵士たち。その頃、趙の軍営では兵士たちが空き腹を抱えて秦の軍営を恨めしそうに眺めていた。一方、趙から戻った密偵により趙括の戦略図を入手したエイ稷(えい・しょく)は敵を欺くために白起が重病との噂を流させる。噂を信じた趙王は趙括を総帥に命じるが…。
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第29話 突撃準備
不安を抱きながらも趙括を前線へと送る趙王。その趙括はいきなり10万の兵で秦軍に突撃すると言い出して副将らを驚かせる。その上、趙括は作戦に異議を唱える副将を罷免してしまう。一方、秦の陣営には秘密裏に白起が到着していた。白起は自分が来たことを敵に知られないようにと念を押す。こうしてついに趙が膠着状態を破って進軍を開始する。そんな趙軍を陣営の頂から睨みつける白起。
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第30話 決戦の日
兵士を鼓舞する白起。丹水西岸で趙軍を待ち受ける秦軍。白起は退いたと見せておびき寄せる作戦で、趙軍を迎え撃つ。だが趙括はそんな秦の作戦に気付かない。手薄になっていた長平関を失ったとの急報に戸惑う趙括。白起は趙軍を一気に追い詰める。包囲された趙括はようやく白起が復帰したことに気付くが、後の祭りだった。劣勢との報告を受けた趙王は慌てて援軍を送ろうとするが…。
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第31話 趙兵の投降
死力を尽くす趙軍だが、もはや勝ち目はなかった。ついに趙括が秦軍の前に倒れる。20万の趙軍が秦に投降したと聞いて驚きを隠せない趙王。一方、秦ではエイ稷(えい・しょく)が勝利の雄叫びを上げていた。だが、投降した趙兵を生かせば秦軍の食糧がひっ迫する上、彼らは将来必ず秦を脅かす。投降兵を殺すべきか否かの選択を迫られる白起。張禄は王命ではなく白起がみずから趙兵を殺すように仕向けたいが…。
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第32話 秦の武将として
夫、白起のもとに向かう妻の趙蔓(ちょう・まん)。その頃、長平では投降兵たちが食料を求めていた。妻の来訪とともに、白紙の王命を受け取った白起は即座にその意図を理解する。何も知らず、投降兵が解放されると信じる趙蔓。その夜、白起は投降兵に向かって若者だけを秦軍に迎え、他の者は解放すると告げる。だが、すでに白起の考えは固まっていた。白起の気持ちを知り、趙兵を助けてくれと懇願する趙蔓。
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第33話 駆け引きの果てに
45万もの兵を失った趙。白起は残った少年兵たちを故郷に帰す。その一団には白起の妻、趙蔓の姿があった。白起はそのまま一気に邯鄲を攻めることに。趙はもはや滅亡寸前。趙王は秦との講和に赴くが、随行した楼緩(ろう・かん)はまず張禄を訪ね、この戦で白起が手柄を独り占めすると揺さぶりをかける。不安になった張禄はエイ稷(えい・しょく)を説得して白起を撤退させるが、趙は秦が退くと領土割譲の盟約を反故にしてしまい…。
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第34話 逸した勝機
邯鄲攻略に乗り出した秦。白起に代わって指揮を執った王陵(おう・りょう)だが、戦況は芳しくなかった。エイ稷(えい・しょく)は白起に出陣を要請するが、すでに好機を逸したとして動こうとしない。その後も邯鄲を攻め続ける秦。だが陥落させられず、エイ稷(えい・しょく)は張禄にいら立ちを爆発させる。こうして張禄は次に鄭安平(てい・あんぺい)を邯鄲攻略に向かわせる。その頃、趙は楚、魏と連合軍を組織し白起の作戦に倣って鄭安平をおびき出そうとしていた。
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第35話 軍神の胸の内
鄭安平が趙に投降し万事休すの張禄。だがエイ稷(えい・しょく)は側近である張禄に情けをかけ、王稽(おう・けい)に河東郡の死守を命じる。その一方でエイ稷(えい・しょく)は白起から爵位を剥奪し、流罪に処してしまう。その頃、趙王は故郷に戻った趙蔓のもとを訪れ、白起が出陣しなかったおかげで趙は生き延びたと礼を述べていた。病床の夫の元へと駆け付ける趙蔓。こうして3ヵ月が過ぎるが、秦は連合軍の勢いに押されていた。
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第36話 大王の決断
張禄は白起に謀反の恐れがあるとエイ稷(えい・しょく)に進言する。エイ稷(えい・しょく)に投降兵を殺害した時の心情を吐露する白起。張禄を重用するエイ稷(えい・しょく)に白起は空しさを隠し切れない。エイ稷(えい・しょく)もまた、白起と心が通じ合わない寂しさを噛みしめる。そんな2人を涙ながらに見守る趙蔓。その頃、秦は敵軍の進攻に脅かされていた。張禄は白起が連合軍と通じる前に処刑すべきと言い出す。武将たちはそんな張禄に一斉に反発するが…。
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第37話 秘策
兵士らのもとにやって来たエイ稷(えい・しょく)はひときわ目立つ若者、摎(きゅう)を将軍に抜擢し、国姓であるエイ(えい)を名乗ることを許す。こうして出陣する秦軍。一方、河東を破られた王稽は投降しようとするものの、連合軍によって張禄のもとに送り返されてしまう。河東の勝利で勢い付く連合軍は周の天子を担ぎ上げて斉、韓、燕を引き入れ、6国で秦討伐に乗り出す。エイ稷(えい・しょく)は秘密裏に河東の汾城を包囲しろとエイ摎(えい・きゅう)に命じるが…。
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第38話 (最終話) 統一への第一歩
西周公を招いたエイ稷(えい・しょく)は周王に天子の座を譲渡させろと言い出す。驚いた西周公はエイ稷(えい・しょく)を王畿に迎えるが、その直後、周王が崩御してしまう。そんな事情を知らない6国の王たちは秦攻略会議を催すが、そこに現れたエイ稷(えい・しょく)は自分が天子になると告げ、王たちに属国となるよう促す。エイ稷(えい・しょく)の暴挙に怒りを露わにする王たち。そんな王たちに汾城で決着をつけると宣言するエイ稷(えい・しょく)。こうして汾城での戦闘が始まる。
作品詳細
列国での争いが繰り広げられる中、秦国では昭王・チャン・ボーが即位する。しかし、その実権は叔父の魏冉と母である宣太后が政権を握っており、王権を奪われたチャン・ボーは酒におぼれる日々を送っていた。政治的介入を許されない立場に不満を抱えたチャン・ボーは、宣太后(ニン・チン)らが勧める楚国との同盟の強化を拒んだだけでなく、楚国太子の蛮行に腹を立て、遂には楚と戦を起こしてしまう。結果、戦には圧勝したものの、チャン・ボーの心の支えであったエイシツを亡くし、己の王としての未熟さを悔いたチャン・ボーは、魏冉らに操られるのではなく、斉の孟嘗君を秦の丞相として迎え入れ、改革を図る。しかし、一度は秦についた孟嘗君に裏切られ、やがて秦は韓、魏、斉らに攻め入られてしまうことに…。そこで秦の窮地を救ったのは戦神と呼ばれる白起(シン・ジャードン)であった。白起は魏冉と共に各地の戦で力を振るい、秦に勝利をもたらすのだった。やがて時は、秦・趙・斉の乱世へと突入。チャン・ボーは秦を最大の国家へと導く真の王へと成長していくのだった。