皇帝の恋 寂寞の庭に春暮れて
1人は覇道の王・康熙帝、もう1人は幼馴染―
予告編
- エピソード
- 作品詳細
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第1話 良児と葉三
清朝康煕8年、康煕帝は奸臣オーバイを捕らえて監禁した。オーバイの一党は粛清され、チャハル親王の阿布ダイも一旦軟禁されるが屋敷に逃げ帰る。はからずも、その日は娘・良児の10歳の誕生日。賑やかに祝いの準備をしていた家人たちは、逃亡したことにより謀反人となった主人とともに皆殺しに。その頃、お忍びで民情視察に出かけた康煕帝は刺客に襲われ、同行した納蘭容若とはぐれて…。
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第2話 失われた記憶
葉三と名乗った康煕帝と別れて、親戚の納蘭府にたどり着いた良児。容若は父親に良児の庇護を懇願するが、自身や家族に累が及ぶことを恐れた納蘭明珠は首を縦に振らない。その夜、良児は何者かに襲われ、池に落ちて頭を強打。目覚めた時には記憶を失っていた。自分の名も忘れた良児はもはや脅威ではないという息子の説得を、明珠は渋々聞き入れる。その日から、良児は小間使いの衛琳琅となった。
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第3話 懐かしき人
上着に施された刺繍を見て驚いた康煕帝は、それを繕った女官を幕舎に呼ぶように命ずる。その刺繍は、幼い頃、ケガをした自分に寄り添って“揺り籠の歌”を歌ってくれた少女がくれた手巾の刺繍とそっくりだった。康煕帝は長い年月、良児というその少女を捜していたのだ。一方、突然正気を失って康煕帝を襲おうとした兵が、因陀羅散という毒を飲んでいたことが発覚。容若の指揮のもと捜査が始まるが…。
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第4話 長慶の恨み
仲良しの翠雋が容若を慕っていると知り、琳琅は複雑な気持ちに。一方、良児を心に想い続ける康熙帝は、その面影を宿す辛者庫の洗濯女官・琳琅が気になり、身分を侍衛と偽ったまま距離を縮めようとする。その頃、康熙帝の命を狙う宦官の長慶と女官の玉箸に怪しい動きが。競べ馬のため馬場に出た康熙帝の馬が、仕掛けられた罠で暴走。居合わせた琳琅を避けようとして落馬し、2人ははずみで口づけを…。
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第5話 罰は落書き
葉三こと康煕帝に返してもらったウサギを抱き、思わず“揺り籠の歌”を歌った琳琅。それを聞いた康煕帝は、琳琅が良児だと確信するが、琳琅にとっては身に覚えのない話だ。その後、琳琅がひとり幕営への夜道を歩いていると衛兵に出くわし、食材に毒薬を盛った曲者と疑われて拷問を受けてしまう。間もなく康煕帝に救出されたが、葉三に会うたびに災難に見舞われることで腹を立てていた。
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第6話 再会
皇帝であることを明かした康熙帝は、自分を思い出させようとあの手この手で琳琅に迫っていた。対して琳琅は、その意図を計りかねて戸惑うばかり。一方、容若は、捜し続けた琳琅が康熙帝の御前に呼ばれたことを知って、急いで幕舎を訪ねる。だが、3年ぶりの再会を果たした琳琅は、よそよそしい態度を取るのだった。それは納蘭府にいた頃、容若の父に言い渡されたことが関係していた…。
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第7話 将来の夢
辛者庫の幕営で、容若との将来について琳琅が占いをしているところを翠雋に見られてしまった。ごまかす琳琅に翠雋は、容若の妻になれるかを占いたいと告げる。それを聞いて、琳琅が後ろめたさを感じた理由は、容若の心が以前と変わっておらず、康煕帝に琳琅との結婚の許しを得ると宣言したからだ。ところが、それより先に康煕帝が、琳琅を御前女官にすると決めてしまった。そばに置きたい一心で…。
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第8話 簫の吹き手
簫の吹き手が女なら容若に嫁がせると康煕帝が約束した…。容若からそれを聞いた琳琅は、楽器はできないと嘘をついたことを深く後悔し、康熙帝の心を和らげようと一度は辞退した御前勤めを決意する。真摯な願いが通じて再び御前に上がることを許されたものの、懸命に仕えても康熙帝は表向き冷たい態度を取り続けた。一方、御前女官について聞かされていなかった容若は、心にざわつきを覚える。
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第9話 毒入り杏仁酪
康煕帝のために琳琅が作った杏仁酪には毒が盛られていた。知らずに毒味した琳琅は無意識のうち剣を手にし、康煕帝に襲いかかる。連行しようとする侍衛を制して意識を失った琳琅を侍医に診察させ、箝口令を敷いたうえで、康煕帝は容若にこの件の捜査を命じた。毒にあたったと聞いて心配する容若に琳琅は、10歳の誕生日に何があったかを教えてほしいと頼む。そして、良児とは誰なのかを…。
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第10話 逃避行
康熙帝の捜し続けていた相手が琳琅だと知った容若は、何もかも捨てて遠くへ行くしかないと考え、琳琅もついていくことを決意した。深夜、散歩に出かけた康熙帝は、琳琅らしき姿を遠くに見かけて後を追おうとするが、途中で何者かに殴打され気を失ってしまう。容若と琳琅が手を取り合って出立した頃、地面に掘られた穴の中で気絶する康熙帝を見下ろしていたのは、復讐に燃えた長慶だった…。
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第11話 濡れ衣の報復
康煕帝をさらって生き埋めにした犯人を捕らえるよう命じられた容若。消えた琳琅の服が利用されたと推測し、女官の幕営を隅々まで調べさせると、琳琅と仲のいい芸初の寝台から御前女官の服が見つかった。濡れ衣だという琳琅の抗議も撥ね付けて芸初を投獄した容若だったが、真犯人は別にいることに気づいていた。そして、犯行現場が川岸の湿った土地であることから、女官たちの汚れた靴に目を付ける。
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第12話 紫禁城の妃たち
狩場からひと月ぶりに紫禁城に戻った康熙帝を待っていたのは、皇帝の寵愛をめぐって争う後宮の妃たちだった。嫉妬や妬みが渦巻く後宮の空気から逃れるように、康熙帝は琳琅を伴って庭へ向かい、狩場から移植させた思い出の梨の木を眺めてひとときの安らぎを得る。だが琳琅は、御前女官の勤めを退きたいと願っていた。一方、そんな2人の関係に不安を抱いてきた容若は、琳琅を逃がそうと決意する。
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第13話 恵妃への懇願
妃たちのなかでも康煕帝の覚えめでたい恵妃は、琳琅を皇宮から逃がしたいという実弟の容若に力を貸すことを了承する。女官が暇を出されるのは、重い病に掛かった場合のみ。琳琅は、恵妃から受け取った薬を飲んで時を待っていたが、御前女官だった琳琅を目の敵にしてきた女官長によって折檻され、耐えきれずに倒れてしまった。その騒動を聞きつけた康煕帝は琳琅を助けるべく辛者庫へ走り…。
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第14話 過去と未来
康熙帝の琳琅への想いを察した恵妃は、琳琅の隠された出自を知るゆえに苦悩する。正体が露呈すれば、納蘭家は破滅を覚悟せねばならない。一方、康熙帝の働きかけが功を奏し、断片的に少しずつ幼少期の記憶を取り戻し始めた琳琅は、容若から聞かされていた自分の生い立ちに疑問を感じていた。問い詰められた容若は、自分を疑う琳琅を非難し、過去と未来のどちらが大事なのか、と諭すのだった。
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第15話 蘇る記憶
8年前に2人が出会った場所での荒療治によって、琳琅は、葉三と名乗った少年との出会いを思い出す。その頃、皇宮では、恵妃が執務中のはずの康煕帝の不在に気づいていた。数時間後、恵妃の部屋にやって来た康煕帝は、ずっと皇宮にいたかのように装った。何も聞かず、疲れを癒やしてほしいと琴を奏でた恵妃だったが、それが2人の思い出の曲であることさえ忘れられていたことに胸を痛める…。
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第16話 傍らの恋敵
琳琅が記憶の一部を取り戻したと知った恵妃は殺害を思い立つが、容若の命懸けの懇願に折れて断念する。一方、康熙帝は琳琅に、首飾りとともに母の形見の指輪を贈ろうとする。琳琅は固辞し、ついに想い続けた人がいることを告白。失意の康熙帝は、当の恋敵とも知らずに、苦しい胸中とそれでも消えない琳琅への想いを容若に吐露する。辛者庫に戻ることを許された琳琅には、新たな試練が待っていた…。
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第17話 蘭の悲しみ
容若と琳琅を伴い、康煕帝は恵妃の誕生祝いの酒席にやってきた。そこで恵妃は余興として、彼女自身に関する3つの質問をするが、答えを知っているはずの康煕帝は1つも当てられなかった。その上、酔いにまかせて自分を愛さない琳琅を責め始める。入内した時、康煕帝から「蘭のように孤高になれ」と言われた恵妃は、それを守って寵を競わずこれまで来たが、誕生日にこの仕打ちはさすがに酷だった…。
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第18話 交わらぬ心
琳琅が自らの愛を受け入れない理由は容若と想い合っていたためだと知った康熙帝は、2人を御前に呼びつけた。死を覚悟した2人が耳にしたのは、結婚を許すという意外な言葉だった。だが琳琅は、長きに渡り自分を欺いていた容若をもはや信じられず、これを拒否。思いがけない琳琅の反応に戸惑いを隠せない康熙帝は、声を荒げて選択を迫った。容若と添い遂げるか、生涯自分に仕えるか、と…。
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第19話 翠雋の愛
容若が女官と私通しているという報告を受けて康煕帝と琳琅が急行すると、そこには寝台に横たわる容若とあられもない姿の翠雋が。侍衛と女官の私通は死罪と定められている。康煕帝は容若に事情を問いただすが、真相がはっきりしないまま2人とも投獄され、無実を信じる琳琅の直訴も聞き入れてもらえずにいた。恵妃は琳琅の関与を疑い、結婚を拒否されて落胆する弟を更に罠に嵌めたと罵倒し…。
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第20話 初恋の終わる日
無実の罪で処刑される翠雋の不運を嘆き悲しむ琳琅。その姿を見て、容若は決断する。翠雋への生涯の愛を康熙帝に誓い、婚儀を願い出たのだ。すんでのところで罪を許され、一転して幸せの絶頂となった翠雋は、辛者庫に戻り嫁入り支度を始める。だが容若と琳琅は、長い年月あたためてきた想いを忘れ去ろうと、それぞれ苦しんでいた。輿入れの日、琳琅は思い出の品である玉の簫を翠雋に贈り…。
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第21話 手放した凧
容若の想い人が琳琅だと知った翠雋は、参内をねだり、琳琅とふたりきりになった。そして、夫を忘れてほしいと懇願する。翠雋の悲痛な表情を見て、琳琅の心は決まった。容若にもらった凧を揚げ、糸を切る。凧は空に舞い上がり、容若への想いや愛しい日々も風と共に去った。寂しそうな琳琅の姿を、康煕帝がそっと見守っている。その優しさに感謝しながら、琳琅は新しい人生を歩むことを誓い…。
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第22話 福佑寺の花火
狩りから戻って以来、妃嬪たちの宮を訪れていないことで康煕帝を咎めた皇太后は、その本心がつかめず苛立ちを募らせていた。そば仕えの小徳子に問いただすも答えは得られない。叱責し体罰を与えたため、起き上がれないほどの怪我を負った小徳子の代わりに、皇太后は配下の長慶を仕えさせることに成功した。長慶に不信感を抱く小徳子は琳琅に、康熙帝から片時も離れず警戒を怠らぬよう釘を刺す…。
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第23話 皇太后の逆鱗
皇帝に最も近い太監である小徳子のご機嫌を取ろうと纏わり付いていた者たちが、皇太后のお仕置き以降、一気に離れていった。そんな時でも変わらぬ気遣いで接する琳琅に、小徳子は感動する。不機嫌な皇太后は、献上品の美人画が先帝の寵愛を独占した側室に瓜二つだったことから、ますます激怒。一方、康煕帝は気晴らしを思いつき、乾清宮の太監や女官を集めて競技やなぞなぞに興じるのだった…。
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第24話 おてんば公主
突然、宮中を訪れた端敏公主は、無邪気に周囲を振り回す。康熙帝に甘える様子を目にして琳琅の心は乱れた。そんな琳琅を想って密かに女官部屋のそばにたたずむ康熙帝の姿を目撃した端敏は、琳琅のもとに直接乗り込む。自分こそ康煕帝が慕うただ1人の女だと立場を誇示し、更に、2人きりの月見の席では琳琅を仕えさせ、親密さを見せつけた。いたたまれない思いで、その場を下がる琳琅だったが…。
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第25話 太陽の慎み
皇太后から受けた折檻で重傷を負った琳琅が心配でならない康煕帝だが、太皇太后の忠告通りに、ただ部屋の外からそっと見舞うにとどめた。この特別な想いと行動を知る由もない画珠は、琳琅の世話係になっても陛下の尊顔を拝めない、と落胆する。一方、康煕帝に見向きもされない端嬪のために、皇太后は酒席を設けることに。したたかに酔わされた康煕帝は、介抱する端嬪を琳琅と見間違い…。
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第26話 指輪と人形
長慶は、琳琅を陥れる企みに加担するよう画珠に強要。弱みを握られていた画珠は、後ろめたさを感じながらも承諾する。康煕帝が雨乞いの行事に出掛けると、寵愛を得られないことで逆恨みした端嬪の策略により、琳琅は康煕帝の指輪を盗んだ罪を着せられ投獄されてしまった。その上、画珠が隠した皇太后を呪う人形まで見つかり、ついには処刑が言い渡される。容若の報告で事態を知った康煕帝は…。
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第27話 晴れた濡れ衣
琳琅に着せられた濡れ衣を晴らそうとする容若は、芸初の協力を得て罠を仕掛ける。捕まった女官は、端嬪の命令により琳琅を陥れたと白状した。康煕帝は端嬪の称号を剥奪し蟄居を命じるが、すべての真相が明らかになったわけではなかった。なんとかして琳琅を救おうと必死になる康煕帝の姿に太皇太后の怒りは収まらず、琳琅の死刑執行が言い渡された。皇帝は琳琅を逃がそうとするが…。
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第28話 太皇太后の教え
体調のすぐれない太皇太后に望まれ、慈寧宮に仕えることになった琳琅。そこで写本を命じた太皇太后の真意は、皇帝の女人としての心得を学ばせることにあった。太皇太后は、先帝の寵愛を一身に受けた端敬皇后について語り、幸せの陰には誰かの不幸があると教え諭す。その時、康熙帝が倒れたとの知らせが入った。病床に駆けつけた太皇太后と琳琅は、危険な劇薬を処方するしかないと聞かされ…。
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第29話 刺客襲撃
旱ばつ被害地の視察に向かう康煕帝とその一行。容若は、旅先でも仲睦まじい康煕帝と琳琅の姿を見るたびに心の痛みを感じていた。仇討ちを焦る長慶は、巻き込みたくない気持ちから芸初につらく当たるようになる。心変わりの理由を探るべく、人目を避けて外出した長慶のあとをつける芸初。すると、長慶は林の中で見知らぬ男と落ち合った。2人の会話から、殺人の相談だと知って驚いた芸初は…。
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第30話 憎き仇の名
追い詰められて川に落ちた康煕帝と琳琅。人気のない暗い洞窟で過ごす時間は、思いがけない安らぎを与えてくれた。容若らによって無事に救出され、刺客は呉三桂の配下との報告を受けた康煕帝は、内通者の調査を指示。琳琅との互いを想う気持ちはますます深まっていく。そんな時、不慮の事故で気を失った琳琅の夢に現れたのは、幼い頃に見た恐ろしい光景。無残に命を奪われる家族たちの姿だった…。
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第31話 悲しい葛藤
ついに琳琅はすべてを思い出し、愛と憎しみの板挟みになって苦悩していた。康煕帝は何も知らず、急に心を閉ざした琳琅の様子を見て力になりたいと申し出るが、拒絶されてしまう。琳琅は悩んだ末、容若と共に皇宮を出ることを決意するが、その密約は長慶に感づかれていた。長慶一派は2人の駆け落ちを待ち伏せして容若を捕らえ、その命と引き換えに、琳琅に康煕帝の暗殺を命じるのだった…。
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第32話 画珠の僥倖
琳琅は、その愛を受け入れられないと告げたうえ、辛者庫への配置換えを願い出た。理由を明かさないことに康煕帝は怒りと悲しみを覚え、願いを許さないばかりか、側室である“答応”の位を琳琅に与える。また、琳琅を妬かせたいがために画珠をも側室にしたが、結果的には康煕帝自身も琳琅も容若も、更に苦しむことに。そんな時、琳琅は刺客の手に噛み付いたことを思い出し、それを聞いた芸初は…。
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第33話 明かされた素性
被災地で住民に施しをする康煕帝を、何者かが襲撃した。とっさに身を挺した琳琅の行動で愛を確信し、真意を探る康煕帝だったが、琳琅の冷淡な態度は変わらない。そんな時、画珠から、容若と琳琅が幼なじみであると聞かされた康煕帝は驚き、その関係を隠していた理由を琳琅に問いかけた。仇の命を救ったことを天国の両親に詫びていた琳琅は、意を決し、ついにすべての事実を語り始めた…。
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第34話 芸初との別れ
康煕帝の周囲で起きた数々の事件への関与を疑われている長慶のため、芸初は逃亡を決意する。待ち合わせの夜。追われる刺客を長慶だと思い込み、とっさに飛び出した芸初の体を、兵が放った矢が貫いた。意識がなくなっていく芸初を抱いて、長慶は名前を呼び続けた…。芸初に死化粧を施していた琳琅は、遺体が身に付けている特殊な三角ヒョウと銀のかんざしを見て、8年前に死んだはずの兄に思い当たる。
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第35話 靴の中の毒虫
長慶は、さらわれた琳琅を仲間の呉子墨から奪い返した。そして、琳琅が望む兄妹ふたりのつましく穏やかな暮らしを始めるかのように装うが、気絶させた琳琅を康煕帝のもとに連れ帰る。この手柄によって長慶は、御前太監に取り立てられた。それからというもの、琳琅は、長慶の魔の手から康煕帝を守るために、ひとときも離れずそばに仕えることに。ついにある日、小徳子が深手を負ってしまう…。
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第36話 御前太監の殺意
寵愛を受けたい画珠は太皇太后のもとを訪れ、康煕帝が夜伽を選ばず琳琅と起居を共にしていることを告げ口する。太皇太后は康煕帝と琳琅を呼び出して叱責。それにより琳琅は、乾清宮への出入りすら禁じられた。画珠は長慶の入れ知恵を聞き、琳琅についての話をすることで、夜伽として指名されることに成功する。一方、長慶を監視できず気が気でない琳琅は、そば仕えの宮女にその役割を頼むが…。
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第37話 近づく真相
康煕帝の命を狙う長慶の動きに、琳琅は気が安まることがない。そんな琳琅を心配した康煕帝は、ついに琳琅の居所である儲秀宮で寝起きするようになった。そんなある日、恵妃が作った杏仁酪を味わった太皇太后は、その独特な作り方が琳琅の杏仁酪と同じであることをいぶかしく思い、琳琅の素性の調査を女官に命じる。一方、名ばかりの夜伽だと他の妃嬪に嘲笑された画珠は、更に焦りを募らせていた…。
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第38話 国法と私情
記憶を取り戻したことを知った恵妃の命令によって、琳琅に刃を向ける納蘭逸。だが、未遂に終わった。やむなく恵妃は康煕帝のもとを訪れ、納蘭家の罪を認めたうえで琳琅の素性を明かし、身の安全のため一刻も早い琳琅の処刑を求めた。康煕帝は獄中の長慶を訪れ、これまでに犯した多くの罪は一家皆殺しに値すると言い渡す。それを聞いた長慶は、琳琅だけは救ってほしいと康煕帝に許しを乞うのだが…。
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第39話 容若の献身
容若の手引きで皇宮を脱出し、人里離れた小さな家に隠れ住むことになった琳琅と長慶。夢見ていた兄妹水入らずの穏やかな暮らしが、そこにはあった。8年前の一件を再調査した康煕帝は阿布ダイの無実を認め、名誉を回復するとの通達を出す。そんな時、隠れ家を見つけた呉子墨が、再び康煕帝暗殺の計画を長慶に持ちかけた。憎しみを捨てきれない長慶は、琳琅に何も告げぬまま計画に乗ることを決意する。
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第40話 (最終話) 康煕帝と良嬪
琳琅を諦めようとしない康煕帝に、大清国の皇帝としての自覚を促して諭そうとする太皇太后。だが、康煕帝の愛は揺るがない。それを予想していた太皇太后は、想いを断ち切らせるため、琳琅に自害を命じていた。琳琅がつながれる獄舎に自害に使う白帯を持って現れたのは、皮肉にも8年前に琳琅の命を救った恵妃だった。過ぎ去った幸せな日々の思い出が、死を目前にした琳琅の脳裏に次々と蘇る…。
作品詳細
清朝康煕(せいちょうこうき)8年。朝廷は奸臣オーバイを捕らえ、残党の一掃を始めていた。忠臣・アフダイも冤罪で汚名を着せられ、10歳だったアフダイの娘・良児(りょうじ)は一家が殺されるのを目の当たりにする。なんとか逃れることができた良児は逃亡中に叶三(きょうさん)と名乗る少年・玄燁(げんよう/のちの康熙帝)に出会う。二人は互いに相手の身分を知らずに生死に関わる経験をし、再会の約束を交わし合ったー。その後、良児は従兄弟の納蘭容若(のうらんようじゃく)の元に身を寄せるが、思いがけず記憶を失ってしまう。容若は良児の安全のため、彼女の名前を衛琳琅と変えて世話をする。やがて、容若と琳琅は幼馴染のように成長し愛情も感じるようになっていた。しかし、容若の父は、琳琅か?災難を引き込むのを危惧して彼女を宮中に送り出し、琳琅は宮女となった。康熙帝は宮中で琳琅と再会を果たすが、彼女に当時の記憶はない。あらゆる手段を使って彼女に昔の記憶を思い出させようとする一方、容若は彼女を遠くへ逃そう画策する―。